自主企画のイベント「デジタルデトックス読書会」から学んだことをテーマ連載記事としてアップしています。
テーマ連載【デジタルデトックス読書会から分かったイベントづくりのコツ 】
1.みんなが読書イベントに求めていることは、読書の○○をつくってもらうこと!
2.みんなが協力してくれるようなイベントを企画するには?
3.参加者が集まるイベントを企画するコツは、新規ビジネスでのニーズの探り方と同じだった!
今回はその最終回です。
企画の力で協力者を集めることまではできても、チームを運営するのが難しい
こうして協力者を集めることまではできても、イベント開催まで、この協力者の方々を引っ張っていくこと(運営)はなかなか難しいです。
これについては私も「こうしたらいいですよ」という提案はできかねるのが現状です。
ですが、二次情報を扱いがちなブログにおいて、自分の経験に基づく一次情報を扱うことは価値があると思っているので、デジタルデトックス読書会(以下、DDD)での経験をもとに自分なりの提案をしてみたいと思います。
この記事をお読みいただければ、有志が集まったチームで、どのような問題がおこりやすいのかということを、事前に知ることができるでしょう。
「有志が集まったチーム」というと分かりづらいかもしれませんが、町内会の中で新しい仕事をつくったり、ボランティアの集まりをつくる場合など、さまざまなケースに当てはまるので、少しでも思い当たることがある方は、このまま読み進めていただけたらと思います。
大変だった、研究室での室長代理
「有志の集まり」での苦い経験は一つではないのですが、特に記憶に残っているのは大学の研究室(いわゆるゼミ)での経験です。
運営を任される4年生になったとき、役職決めがありました。
なんだか嫌な予感がしたので、室長や副室長をさけ、会計係のようなもの(3番目のポジション)になったのですが、室長や副室長に責任感がなく、留年したり、蒸発(?。行方が分からなくなってしまった)したりして、研究室に来なくなり、私がメンバーをまとめなくてはならなくなったのです。
実質的に室長のようなことをやっていたと思います。
運営上問題を感じたのは、部活などのように組織化していないので、長にもこれといった権限がないことです。
ゼミの運営に関して、みんなが役割分担をする必要がある場面であっても、平気で「おれはやらないから。」と協力しないことを、なぜか自慢げに主張する子どものようなメンバー。
加えて、話し合いの場にすら参加しないメンバーも現れ、ショックを受けたりあきれたりしたことを覚えています。
結局、親切で優しいひとに負担が偏ってしまいました。
この経験から感じた「有志が集まったチーム」でおこりがちな問題は、次のようなものです。
- 責任感や仕事の分担に関する、共通の認識がない
- メリットだけを享受する「フリーライダー」に対する抑制力がない
- チーム内のルールや規制がない
- 責任感のある人に多くの役割がのしかかってしまう
- 自然消滅してしまう
その後、十年以上経ちました。
しかし、こういったチームをどう運営していったらいいのか、私はいまだにコツややり方が分からずにいます。
以前の仕事で「ワーキング(グループ)」という、有志の集まるプロジェクトのようなものに参加したことがありますが、舵取り役がいない集団と化し、自然消滅してしまいました。
つまり、企業や自治体(官公庁)のようなちゃんとした組織の中にも「有志が集まったグループ」のマネジメント方法を知っている社員や職員がいないということ。
そのため、会社や組織に勤めていても、仕事から有志が集まったグループの運営方法はなかなか学べない。
そのような状況なのだと分かりました。
日本には、あまり、こういった形でのチーム運営に関する検証がなされていないのではないかと感じ、ボランティア団体の運営とか、まちづくりのワークショップなどは、どのように運営しているのだろう?、と私自身考えるようになりました。
「プロジェクト型」のチーム運営ノウハウは発展途上
私はチームマネジメントの勉強をしたことがありません。
ですので、もしかしたら世の中には「有志が集まったグループ」の運営ノウハウはチームマネジメントを勉強すれば学べるのかもしれません。
もし、ご存じの方いらっしゃったら、ここに(この本に)「有志が集まったグループ」の運営ノウハウが載っていますよ、と情報提供いただけるとうれしく思います。
調べてみたところ、ビジネスの現場において、「有志が集まったグループ」による仕事に近い働き方として、「プロジェクト型の仕事」というものがあるようでした。
ちきりんさんの著書『自分の時間を取り戻そう―ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』(2016,ダイヤモンド社)によると、日本では、同じ組織に属している人たちでチームを組んでプロジェクトを行うという働き方が普通だったが、そうではなく「プロジェクトごとに必要な技術や知識を持つスタッフが集まってチームを組む」という働き方が増えるだろう、と説明されています。
この、「プロジェクトごとに必要な技術や知識を持つスタッフが集まってチームを組む」というやり方が、顔見知り同士でチームを組む「組織型」の働き方との対称として、「プロジェクト型」の働き方として紹介されています。
以前はなかなかイメージしづらいひともいたと思います。
ですが、コロナをきっかけに、リモートワークをするひとやフリーランスのweb・IT関係のワーカーが増えました。
そのため、この本が出版された2016年当時に比べ、「プロジェクト型」の働き方は一般のひとにもずいぶん想像しやすくなったのではないでしょうか。
クラウドソーシングなどで都度、そのプロジェクトに必要な技術を持ったメンバーを集めてチームを組む、プロジェクト型の仕事。
一見無駄がなく、生産性が高いようにも思われますが、チーム運営のノウハウがまだ確立されておらず、生産性が低いままにとどまっているのだそうです(注:2016年出版当時の状況)。
同書には以下のように説明されています。
誰がリーダーシップをとるのか、それぞれの責任と分担をどう決めるのか、といったチーム形成に多大な時間がかかるうえ、それぞれが常識と考えるビジネス慣行も異なるため、スムーズなコミュニケーションのためにも余分なエネルギーが必要となるからです。(p.219より引用)
ちきりんさんは同書で、今はこのような状態だけれど「多くのひとが『初めて会うメンバーといきなり高い生産性で働くためにはどうすればいいのか』というノウハウを持ち始めれば話は変わります。(中略)失敗から『どうすれば寄せ集めメンバーで組成したチームでも高い生産性で働けるのか』という教訓を抽出し、それを次回のプロジェクトに活かして生産性を高めることができれば―プロジェクト型チームの生産性も、少しずつ高められます。」(p.220)とおっしゃっています。
プロジェクト型のチーム運営は、まだまだ発展途上だということが推測されます。
「寄せ集めチームあるある」とその解決策はここを参照
寄せ集めチームにおいて、実際に直面した問題とその解決策が整理されています。
「議論が拡散して収束しない」「最初は多いに盛り上がるがその熱量が維持できない」「時間的になかなか集まれずコミュニケーションが進まない」など、私もDDDで思い当たる点が……。
有志の集まり(寄せ集めチーム)の運営をやってみて導き出した、私なりの教訓
私が得た教訓は、参加者にはストレングスファインダーのような「強み診断」を受けてもらう、ということです。
これによって、運営のやりやすさがずいぶん変わってきます。
今回、DDDに中心的にかかわってくださったメンバーの中にストレングスファインダー(以下SF)を受けていた方がいました。
ほぼ初対面の時に、それぞれのSF上位資質の話などで盛り上がり、短い時間でお互いの距離を縮めることができ、そのことがチームの運営に大きく貢献したと感じています。
彼女の上位資質と私のそれが正反対(私の最下位の資質が彼女の上位資質でした!)だったので、短所をうまくカバーしあいながらチームとして機能したのだと思います。
友人同士や同じ組織に所属する者同士など、長い時間を一緒に過ごしてきたり、同じ組織文化で過ごしてきたひと同士なら、自分が「普通」とか「常識」と思っていることに対し、大きなずれは出てこないと思います。
ですが、まったく常識の違う人たちが集まった「寄せ集めチーム」では、「ほとんど考えは一致しない」と思っていた方がよいです。
同じ会社のメンバーで構成されるチームで何かを進めていた時は、言わなくても分かったり、雰囲気で通じていたようなことが通用しないケースも多いです。
対面で顔を合わせられる回数も限られている中で、いかに早い段階でお互いの性格(強み)を把握するか、ということが、有志の集まり(寄せ集めチーム)で生産性を高めるカギになると感じました。
日本よりも早い段階でプロジェクト型のチームでの仕事が始まったアメリカにおいて、SFのような定型化された強み診断テストが生まれた、というのは納得です。
強みを知る診断ツールは、ストレングスファインダー以外にも。
SFは資質が34項目もあり、このひとつひとつの違いを把握するだけでも、それなりに学びの時間が必要です。
もっと資質の項目がすくない強み診断ツールもあります。
私が受講し、その後、仕事や生活に活かせたのは以下の二つです。
・つよみ~ランド
こちらのサイトには強み診断の内容について具体的な解説はないのですが、SFよりも資質(強み)の数が少なく29コですので、理解しやすいと思います。
・CQ診断
日本でできた強み診断で、もともとは結婚のマッチングサービス用に開発されたようです。
こちらはつよみ~ランドの診断よりもさらに才能の数が少なく、12の要素で構成されています。
今後、プロジェクト型のチームでの仕事はますます増えていくでしょうし、強み診断ツールの役割は大きくなるのではないか、と私は思います。
そして、ビジネスの場だけでなく、有志の集まり(寄せ集めチーム)の運営にも強み診断は多いに役立つと思います。
まだ、受けてみたことのないひとは、ぜひ一度、ご自身で受けて見ることをおすすめいたします。
まとめ
4回にわたってイベントづくりのコツについて連載してきました。
いかがだったでしょうか。
特に、自治体(官公庁)や図書館などの公的機関でのイベントづくりに、応用できる内容だったのでは……?
公的機関に勤めていると、イベントのつくりかた(アイデア出しから運営まで)について、習ったり、学んだりする機会は少ないのではないか、と思います。
そういう方は、ぜひ、今回の記事を参考にしていただけるとうれしいです。
そして、なんとDDDの第二回開催が決まりました!
「連載を参考にしてイベントをやってみた結果、こうなりました!」というご報告もお待ちしています。
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