よい情報には対価を支払おう

2024/10/28

エッセイ/ごあいさつ 好奇心

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本当に役に立つ、確かな情報は有料

みなさんは、普段インターネット記事や、テレビやラジオ、youtubeやTikTokなどで情報を得ていると思います。

そのほとんどは無料で見たり聞いたり、読んだりできるものではないでしょうか。

ですが、本当に役に立つ情報や確かな情報というのは、基本的には有料です。

そのコンテンツを作っているひとに届く形で、きちんとお金を払いましょう。

そう感じる場面がこのところ繰り返しあったので、記事にすることにしました。

無形物である「情報」は、無料という感覚

ブログを書いていて思うのは、書籍や便利グッズなど、お金を払うとなにかしら手元に形のあるものが残る場合は、みなさん、比較的お金を払おうとしてくださる傾向があるということです。

例えば、おすすめの本をブログ記事で紹介すると、買ってくださる方がいます。

しかし、それが手元にのこらない「情報」になるとちょっと状況が変わってきてしまいます。

例えば、私がこのブログでも何度かおすすめしている「Voicy」という音声配信メディア。

おすすめの配信を紹介しても、それが有料配信だと低価格であってもなかなか聞いていただくのは難しいです。

私の聞いているVoicyの配信の多くは、10本分300円とか、毎日配信の一か月分が1500円とか、1配信当たりの金額は、書店で売られている本よりも安いし、まとめ買いしたとしても、寄り道したコンビニでつい散財してしまうような金額です。

本の方がよほど高いのに(電子書籍の中にはもっと低価格のものもありますが)。

「なぜなんだろう?」と考えた時、おそらく、金額の問題ではないのだろうな、と感じました。

情報に形があり、現物が手元に残るか、残らないかの違いなのです。

インターネットでの検索やYoutubeなどの利用が広がってから、これまでは本で調べたり、図書館に足を運ばないと分からなかった内容が、スマホ一つで調べられるようになりました。

そして、「ネット上では無料でもそこそこのレベルの情報が得られる」という感覚が多くの人に生まれ、ネット上の情報は無料、という意識がかなり強くなってきていると感じています。

信頼性の高い情報は有料

ですが、信頼性の高い情報というのは、基本的に有料だと考えていた方が無難です。

そして、消費者が支払ったお金が直接、情報を発信しているひとにわたっていることが重要です。

例として、『暮しの手帖』という雑誌を紹介します。

古くからある主婦向けの雑誌でしたので、男性や若い方はあまりご存じないかもしれません。

ですが、この雑誌の編集者の女性を主人公にした、「とと姉ちゃん」というNHKの朝ドラが放送され、それをきっかけに幅広い層に知られるようになったように思います。

実はこの雑誌、広告を載せていないんです。

そのため、スポンサーの顔色を窺わずに、「今、読者に伝えたい」と編集者が感じている情報が載っています。

ほとんどの雑誌はたくさんの広告を掲載し、広告収入よって成り立っています。

広告を大量に掲載し、広告収入で雑誌を作ると、広告主のかかわる分野や製品を批判するような記事は当然ながら載せられません。

また、もっと良質な商品があり、編集者はそれを本当は紹介したいと思っていたとしても、忖度して、広告主の商品をおすすめする記事を書く、ということだって0だとはいえません。

そのひとの人生にとってベストな情報を提供しようとすると情報はどうしたって有料になる

何か分からないことがあると現在では多くの方がスマホでまず、検索をかけると思います。

ほしいものがあるけれど、その分野にあまり詳しくない場合、googleで「○○␣おすすめ」と検索すると、たくさんの「○○のベスト10」のようなタイトルの記事が一覧で出てきます。

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「マットレス␣おすすめ」で検索した例

私も何か新しく購入する際は、こういった検索をよくやってしまうのですが、これがどれくらい信用できる内容なのか、という疑問を持ちながら、参考程度に見ています。
※各リンクの上にも「スポンサー」としっかり表記されています。

『暮しの手帖』の話に戻りますと、自信をもって誌面で製品をおすすめをするため、徹底した商品テストが行われていました。

今ではその徹底ぶりは伝説となっています。

例えば、読者向けにトースターのおすすめ記事を書くため、比較したトースターは33種類。
テストのために、4万3千88枚の食パンを焼いた、というエピソードが残っています。

参考記事:
【暮しの手帖】『焼いた食パン4万3千88枚』 - 自動トースターをテストする -(1969年)
https://zakkicho2.blog.ss-blog.jp/toaster

おそらく、公平に期すために、もちろん食パンも自腹で準備したのではないか、と思います。

雑誌の売上がないとテストの準備はできませんから、結果的に情報は有料になり、読み手は情報提供者(暮しの手帖社)に支払うことになります。

ネットでの広告収入のビジネスモデルが複雑化し、読み手側からは分かりづらくなっていますが、基本的にインディペンデントな立場でないと正確な情報発信はできません。

また、そのひとたちが良質な情報発信を継続的に続けていくためには、読者に情報に対して、きちんと対価を支払ってもらうことが必要不可欠となります。

「質の高い情報を発信しているひとに課金する」ということについて、一度考えてみよう

今回、これまでも度々このブログでご紹介してきた音声配信メディアVoicyから、二つの配信をご紹介いたします。

この二つの配信は、おそらく「多くの人に聞いてもらいたい」という配信者の思いから、現在は無料で聞くことができます。

良質な情報を提供してくれる方(発信者・配信者)に、継続的に質の高い情報提供を続けてもらうには、情報を得る立場としてはどうしたらよいのか、ということを、これを機会に、一度考えてみていただけたらうれしいです。

【緊急ライブ】緒方社長からご連絡あったので新規企画について生でズバリお話しました!!(2024/7/2 #1253)
https://voicy.jp/channel/2028/1297694

まちづくりや地方再生にかかわってこられた木下斉(ひとし)さんと、Voicy社長の緒方さんとのフリートークです。

まちづくりの現場で常日頃、利益につながるような多数のアイデアを出している木下さんに、社長が相談しているという、どこか微笑ましさの感じられる配信です。

時間のない方は、15分30秒あたりからお聞きください。

ここで話されているトピックに少し触れますと、私たちは民法のTV番組の仕組みに慣れており、無料で役に立つ番組(情報)が得られる、と考えてしまいがちということが挙げられます。

しかし、落ち着いて考えてみましょう。広告収入を前提としたモデルでは、広告主がお客さんなのであって、視聴者はお客さんではありません。

そのため、視聴者に役立つ内容ではなく、広告主が利益を得られる(喜ぶ)番組内容になっているのですが、そのことをついつい忘れてしまいがちです。

緒方さんもおっしゃっていますが、その人の人生にとってベストな情報を出そうとすると、「広告収入を前提としたモデル」ではなく、先ほど例に出した『暮しの手帖』と同じように、視聴者が情報提供者に課金する形になります。

地方のデパートがお客さんが利用しないとつぶれてしまうのと同じように、情報提供者も課金してもらえないといなくなりますので、有益な情報提供をしてくれているひとにはみんなが積極的にお金を払っていくことが大事です。

また、今回の発信の内容からはずれてしまいますが、49分ごろから、語られている「スタディーツーリズム」はとても可能性があるなあと感じます。

2021/6/19 #256 きちんと学びに投資しましょう
https://voicy.jp/channel/1295/165142

こちらは、このブログでも何度かご紹介している、社会派ブロガー、ちきりんさんの配信。10分程度とコンパクトです。

この配信から思うのは、生活に必要な情報をできるだけお金をかけずに収集しようとすると、無料でみられる情報ばかりを読んだり聞いたりすることになる、ということです。

この配信が伝えているように、学びのために使う予算を毎月あらかじめ決めておき、学びに関連する分野の情報収集にはちゃんと課金し、質の高い情報に触れるようにしてみてはいかがでしょうか。

学びというと、何か資格を取ったり難解なことを勉強したり、と堅苦しく考えがちですが、もっと大きく、「今、興味のある分野や生活上困っているものごとに関する調べ物」ととらえてみてはいかがでしょうか。

例えば、私はこれまで住んでいた賃貸住宅での大家さんとの関わりや隣家の騒音問題、不動産業者との関係に疑問を持ち、「住まいについてストレスなく暮らすにはどうしたらよいか」と考えたことがきっかけで、放送大学の講座を受講しました。

結果的に、ネット検索(無料)で得られる情報とは比べ物にならないくらい、質の高い有益な情報を得ることができ、かつその分野を短時間で体系的に学ぶことができました。

こういった、生活に直結したような、自分が個人的に興味のある分野の調べ物も「学び」に含めてしまっていいと思うのです。

来月から皆さんも、自分ならではの「学び」について月の予算を決め、良質な情報提供をしてくれるひとにはお金を払う、という活動を始めてみませんか?

この記事を通じて、情報提供者へのリスペクトが高まり、無形サービスである「情報」にも対価を支払うことが必要なのだ、ということを理解してくれるひとが増えることを願っています。

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