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QUINTBRIDGE 入口付近にて |
前回の記事はこちら。
先月、大阪、京橋にあるQUINTBRIDGE(クイントブリッジ)というコワーキングスペースに行ってきました。
QUINTBRIDGE webサイト
https://www.quintbridge.jp
コワーキングスペースが抱える課題
「コワーキングスペースなのに『コ』がない」
これはコワーキングスペースのユーザーの方が、ぽろっとおっしゃっていた言葉。
コワーキングスペース(co-working space)なのに、「コ(co)」を表す、利用者同士のつながりや共創がなく、「ワーキングスペース」になってしまっている、という現実。
理由はさまざま考えられますが、一つにはコワーキングスペースが「利用者同士がつながり、共創をうむための場所」であるということが、まだまだ一般には知られていないということがあるのではないではないでしょうか。
例えば、こちらのサイト(※1)には「そもそもコワーキングスペースは『場所』を提供するサービスです。コワーキングスペースはコミュニティが売りだという人もいますが、一般的に利用者は座って仕事をする場所に対してお金を払っています」と説明されています。
これは、コワーキングスペースを、区画で借りるよりも安価なレンタルオフィスだと考えているひともまだ多いという現状を示しています。
また、自治体が運営しているコワーキングスペースのWebサイトの「よくある質問」(※2)にも、「コワーキングスペースは図書館やカフェのような一つのオープンスペースを複数の利用者が使用するスペースのことです。事前予約が不要なので、気軽にご利用いただけます」と書かれています。
図書館の学習席のようにしゃべらずに、一人でもくもくと作業をする場所である、と思ってしまうような説明です。
こういったことから、残念ながら「コワーキングスペース」という名称の施設であっても、皆パソコンを凝視していて、誰とも話さず、もくもくと作業をしているような状況を見かけます。
これまでいくつかの地方で、コワーキングスペースを利用してきましたが、そのような施設の方がむしろ多数、といえるかもしれません。
QUINTBRIDGEのこころみ
今回訪ねたQUINTBRIDGEでは、利用者同士のつながりや出会い、共創が促され「コ」が生じるよう、さまざまな工夫がされています。
多くのコワーキングスペースが力を入れている利用者同士の交流が生まれるようなイベントの実施に加え、大胆な工夫をしているなあと感じた点があります。
それはコワーキングスペースではなく、「オープンイノベーション施設」と定義することにより、結果的に本来のコワーキングスペースに近い環境を実現している、ということです。
QUINTBRIDGEのWebサイトを見てもどこにも「コワーキングスペース」という言葉は見当たりません。
しかし、こちらのページで紹介されている「QUINTBRIDGEでできること」の「学ぶ」「繋がる」「共創する」は、コワーキングスペースの機能そのものです。
「コワーキングスペース」という言葉を使ってしまうと、WiFiが飛んでいて電源があり、集中してPC仕事に取り組むスペースだと思ってしまうひとが多い。
そこで、「コワーキング」ではない言葉を使うことで、利用者が仕事中に隣のひとに話しかけやすい、共創がうまれる場を作ろう。
こうした意図から「オープンイノベーション施設」という表現になっているのではないか、と思いました。
参考のために、近々開催されるこちらのイベントの告知文面に掲載されている、QUINTBRIDGEの施設説明をご紹介しておきます。
「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」は、NTT西日本が2022年3月に開設した、企業・スタートアップ・自治体・大学等のパートナーが集まり『業界・地域課題の解決』と『未来社会の創造』をめざすオープンイノベーション施設です。
QUINTBRIDGEへ行ってみたい!と思った方へ
QUINTBRIDGEは大阪の京橋駅から歩いて10分ほどのところにあります。
飲食の持ち込み可能で、利用は無料!
無料なので自治体が運営しているのかなと思いきや、NTT西日本さんの施設なのです。
利用は無料ですが、法人、個人ともに会員登録が必要です。
ここでは個人会員の場合について説明します。
一番良いのは、月数回行われている見学ツアーに参加してみて、登録をする流れだと思います。
※webサイトに開催日時が掲載されています。
ですが、開催日が平日日中のことも多く、私は予定があいませんでした。
問い合わせたところ、個人向けの見学は毎月の見学ツアーのみということだったので、まず登録し、利用してみることにしました。
登録はWeb上で完結します。
https://www.quintbridge.jp/join
初回利用時は受付で詳しい説明を受けられますので、平日は企業で働いているという個人の方は、まずは登録してQUINTBRIDGEへ出かけてみる、という方法をおすすめいたします。
施設案内ページ
https://www.quintbridge.jp/about/floor
館内のようす
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入り口にはカフェ風の看板でイベント案内などが置かれている |
1月に訪れたので入り口には書きぞめが展示されていました。
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最先端の施設と書き初めのアンバランスな感じが微笑ましい |
館内はいつもにぎわっている印象ですが、満席だったことはなく、問題なく利用できています。
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こんなものも |
法人会員の方が、課題解決のアイデアを求めるポストもありました。
私もアイデアを紙に書いて投函してみました!(残念ながら連絡はありませんでしたが)
この「共創ポスト」については来館しなくても、Webから解決アイデアを投稿することもできるようになっています。
↓直近の募集
https://www.quintbridge.jp/event/detail/202502032139.html
下の写真の右上に書かれているのですが、興味深いのが、法人会員さんが大阪に限定されていないこと。大阪に拠点がなくても会員になれるのです。
法人会員の7割は関西圏で、2割は関東なのだそうです。
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去年、施設はグッドデザイン賞を受賞 |
自治体の関わっているコワーキングスペースは、その地域の課題解決に絞られていることが多いですが、QUINTBRIDGEは幅広く関係者を募っています。
これは民間企業が運営している強みかもしれません。
また、多くのコワーキングスペースに設置されている、本のコーナー。
職業柄、必ずチェックしてしまいますが、QUINTBRIDGEにもありました!
入場料をとることで話題になった六本木の書店、「文喫」の株式会社ひらく様が選書に関わっています。
大阪近郊のコワーキングスペース利用者は一度は足を運んでみては?
私は平日会社勤めをしている上、自宅でも仕事ができるため、なかなかコワーキングスペースの月会員利用には踏み切れないでいます。
そのため、主にドロップイン(※会員になるのではなく都度利用すること)でコワーキングスペースを利用しています。
しかし、残念ながら、最近ドロップイン利用可能だった近くのコワーキングスペースが、一つ閉鎖されてしまいました。
また、私自身は、コワーキングスペースの本来の機能である「利用者同士の思いがけない出会いやつながり、共創」、つまり「コ」を期待して、コワーキングスペースを利用しています。
しかし、残念ながらあまり期待した効果は得られていない……というのが素直な感想です。
こういったことから、今後は大阪のQUINTBRIDGEも併用してみようかと考えています。
確かに移動の時間はかかります。
ですが、イベント時でなくても、利用者同士のコミュニケーションが推奨されている場であるというのは大きいです。
コワーキングスペースの本来の役割を期待しているひとにとっては、メリットだと思います。
また、QUINTBRIDGEには「行けば何か面白い出会いがあるかもしれない」と思わせてくれるワクワクさせてくれる雰囲気がある、ということもポイントが高いです。
QUINTBRIDGEでは毎日のようにイベントが開催されており、これも基本的に参加は無料です。
イベントカレンダー
https://www.quintbridge.jp/calendar
もし、コワーキングスペースに対して登記やシェアオフィスとしての目的ではなく、本来の役割を求めておられるのであれば、大阪近郊の方はQUINTBRIDGEも選択肢の一つに入れてもよいかもしれません。
さいごに
QUINTBRIDGEには「コワーキングスペース」という言葉が使われていません。
そのため、ネットを利用してのPC作業(持ち込みの仕事)をしてもよい場所なのか、それとも交流のみに特化した施設なのか、ということがWebサイトを探しても明記されておらず、私の場合、利用を踏み切るのに時間がかかりました(もし、はっきりと書かれているページを見落としていたようでしたらすみません)。
結局、会員登録を行い、実際に施設に足を運んでみて、ようやく分かりました。
QUINTBRIDGEの残念だった点としては、「ぶっちゃけ、そこでPC仕事はできるのか?」という、非常にシンプルな疑問が、ネット上では解決しなかったこと。
遠方なので会員登録する前に、その疑問を解決したかったのですが、会員登録し、実際に行ってみるまで分かりませんでした。
(ちなみに法人や自治体向けには、随時見学対応をしておられるようですが、個人の場合は月に数回の見学日以外は、スタッフの案内による見学は難しい施設です。私は予定が合わなかったのと、遠方のため会員登録前に知りたいことがあったので、他の日時に見学可能か問い合わせてみたのですが、見学日に参加するか見学前に会員登録をして自分で館内を見る、という方法を案内されました)
ただ、利用してみると、PC仕事もでき、本来のコワーキングスペースとしての機能である、利用者同士での交流や共創がうまれる仕組みも備わっている施設だということが分かりました。
電車でのアクセスが容易で無料で利用できるという点も、フリーランスやスモールビジネスの方、起業を考えている学生さんなどに親切な施設だと感じます。
この記事がQUINTBRIDGEに興味があったけど、なかなか利用に踏み切れなかったというひとの会員登録への後押しになれば幸いです。
ぜひ、QUINTBRIDGEでお会いしましょう!
<参考サイト>
※1
コワーキングスペースは儲からないと言われるが飲食店よりはるかに廃業率は低い(2025.2.15
sited)
https://hata-smeca.com/coworking-money
※2
天理市テレワークセンター よくある質問(2025.2.15 sited)
https://tenri-twc.jp/contact/?anc=faq
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