この秋レギュラー化された注目の音楽番組、「tiny desk concerts JAPAN」

2024/10/13

音楽

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このブログでは音楽関係の記事は初めてとなるでしょうか。面白そうな音楽番組をみつけましたので紹介します。

先日、NHK総合で偶然見た、KIRINJIのライブパフォーマンスがとてもすてきでした。

NHKプラスにて、明日10/14(月) 午後11:28 まで視聴できますhttps://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024100705808

「スタジオっぽいセットだけど、変わったところで演奏しているなあ」と思って調べてみたところ、NHKの実際のオフィス(渋谷)で演奏されていることが判明。

番組収録をするための場所で演奏していたわけではなかったのです。

この不思議なライブ、単発の企画モノではなく、この秋レギュラー化された『tiny desk concerts JAPAN』というNHKの音楽番組でした。

番組公式サイト

tiny desk concerts とは?

本家の「tiny desk concerts」はアメリカの公共放送NPRがネット展開し、全世界にブームを巻き起こした音楽コンテンツ(NHKサイトより引用)で、それの日本バージョンが今NHKで放送されている「tiny desk concerts JAPAN」。

本来、パフォーマンスをする場所ではない、放送局のオフィスであえてライブをするという試みのようです。

かなり制約のある環境下で、いかに自分たちらしさを打ち出した演奏をみせていくか、というのがこのコンサートの見どころのひとつのように感じます。

また、放送局のスタッフが観客として見ているようで、演奏の合間に拍手などが入ります。

こんなこと実際にあるのかは不明ですが、楽屋を訪ねていったらサービスで一曲演奏してくれたような感じと言いますか、オフィシャルなステージにはない、独特の内輪感がこの番組の大きな魅力となっています。

「こんな狭くて限られたスペースで?!」と、ミュージシャンへ無理な課題を投げるところやインフォーマルな雰囲気から、私が見た印象としては「音楽版大喜利」のような感じがしました。

本家NPRの「tiny desk concerts」から、おすすめの配信

KIRINJIは本家の「tiny desk concerts」のスピリッツに賛同し、NHKの「tiny desk concerts JAPAN」に出てくれたようです。

では、本家の「tiny desk concerts 」とはいったいどんな番組なのでしょうか。

番組webサイト

第一印象は、演奏ではなく「NHKのオフィスより、ちらかってる!!」。

こっちの方が、「オフィスでやってる」リアルな感じがあります。

やっぱりNHKの方は、公共放送だし見せちゃいけない書類とかきちんと隠してからやってる感じがありますが(だから整い過ぎていてセットかと思った)、こっちはリアルな放送局のオフィスで、バックヤード感があふれています。

いや、NPRも公共放送なんですけどね。なんか、ヴィレッジヴァンガードの店内でアーティストが雑貨や本に埋もれて演奏しているような感じです。

おすすめは、リタ・パイエス(Rita Payés)の回。
https://www.npr.org/2024/10/01/g-s1-25694/rita-payes-tiny-desk-concert

演奏が始まったとたん、資料で雑然としたオフィス(失礼!)に、スペインの風が吹き始めます。

2曲目はリタのお母さん(クラシックギタリスト)のソロから始まります。

リタ・パイエスは、スペインのサン・アンドレウ・ジャズバンド(Sant Andreu Jazz Band)出身のヴォーカリスト/トロンボーン奏者。

このジャズバンド、スペイン・バルセロナのサン・アンドレウ公立音楽学校から生まれた児童向けのバンドで、メンバーはここで学んでいる6~18歳の子どもたちです。

このバンドが何人もの若くて美しいスターを輩出したことで、世界的な注目を集めました。

↓私がこのバンドを知ったきっかけとなった記事はこちら。演奏している動画も掲載されています。

音楽演奏用でない、狭いスペースでパフォーマンスするということ

今回「tiny desk concerts JAPAN」を見て思い出したのが、日本のGOOD BY APRIL(グッバイエイプリル)というバンドがInstagramで毎週月曜日に行っている「Monday Jpop Cover」というパフォーマンスです。

彼らも本来演奏するスペースではない、店の中でパフォーマンスをしています。

シティーポップ系のサウンドを聞かせるバンドなのですが、シティーポップを代表する名曲、プラスティック・ラブのカバー、素晴らしいです。

この他、山下達郎さんの「RIDE ON TIME」など、毎回クオリティが高すぎて心配になります。

この収録、東京ではおなじみのレコード店、「ディスクユニオン」のお茶の水駅前店の店内で行われています。

レコード店の店内にステージのようなスペースを設け、アーティストがCDの発売に合わせてインストアライブを行う、というイベントはこれまでもあったかと思いますが、この試みはそれと似たように見えて、実は全く違うもの。

前者はアーティストの販促プロモーションであるのに対し、この「Monday Jpop Cover」は、ライブ活動や配信などのアーティストのパフォーマンスの一つでもありながら、レコード店そのものを魅力的に見せることにも貢献しています。

ライブの様子に戻ると、こちらの演奏、KIRINJIの「エイリアンズ」のカバーは、「プラスティック・ラブ」よりもさらに狭いスペースでやっています(けど、上手い)。


「プラスティック・ラブ」も「エイリアンズ」も、大変多くの方にカバーされている曲なので、演奏のクオリティーの高さは聞いていただければすぐに分かると思いますが、加えてすごいなと思うのが、ビジュアルセンスです。

どのお店も似たような作りの狭いレコード店の店内を、インスタの縦型の画面に合わせて、奥行き感を感じさせたりして、わざわざ行ってみたい雰囲気を演出しています。

ファンなら、「GOOD BY APRILが演奏していたスペースだ!」と店まで見に行きたくなるかもしれません。

GOOD BY APRILのジャケットなどはベーシストの延本(えんもと)さんが担当されているそうなので、もしかしたら彼女のデザインセンスが、これらの投稿には活かされているのかもしれません。
※通常インスタ投稿にも、ニューリリースのプロモーションのため、多数の投稿が組み合わさって1枚のイラストになるようにしている投稿があり、その発想に驚かされました。

また、最近の若い方のデザインや構図のセンスには目を見張るものがあり、理論的にデザインを学んでないのに、なんでこんなにセンスのいいものが作れるの!、と、驚かされることが多々あります。

私たちの世代とは、空間認知などの能力が違うんだろうなあと思います(特に自分のInstagramを見た時に)。

ミュージシャンのことをいつからか「アーティスト」と呼ぶようになりました。

今の時代、プレイヤーとしてのクオリティーだけでなく、ビジュアルも含め全方位的に自分をプロデュースできる能力が求められているからこそ、ミュージシャンのことを「アーティスト」と呼ぶようになったのかもしれません。

おわりに

「tiny desk concerts JAPAN」の第一回は藤井風さん。

彼の演奏が本家NPRに注目され、なんとNPRの「tiny desk concerts」のサイトに掲載されることになりました。

J-POPをこれまで聞いてこなかったような、世界中の「tiny desk concerts」ファンから注目してもらえるチャンスが与えられた、ということになります。

https://www.npr.org/2024/04/12/1244104152/fujii-kaze-tiny-desk-concert

これまでミュージシャンにとっては、アリーナや武道館で演奏したり、ワールドツアーを行うなど、より大きな会場で、より広い世界で演奏を行うことが世界での知名度を上げる方法だったように思います。

ところが、今回の試みは、とても狭いスペースで行われました。
しかも、音楽演奏用の場所ですらないのです。

確かに、自宅で撮影したYoutubeの動画が海外の人の目に留まり、世界中で知られるようになるという流れはこれまでにもありました。

しかし、今回の藤井風さんの快挙は、またそれとも違う、音楽界におけるパラダイムシフトのような気がします。

「再生回数」や「フォロワー数」ではないところで、また面白い流れが生まれようとしています。

これからも、この新しい流れに注目していきたいところです。

みなさんも、ぜひ「tiny desk concerts JAPAN」を、本家の「tiny desk concerts」ともどもご覧になってみてくださいね。

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