現在、ZoomやGoogle Meetなどをオンライン会議システムを使った、オンラインの読書会の準備をしています。
これまでの経験から、リアル(対面)での読書会は、特に問題を感じてはいませんでした。
しかし、オンラインで場を進行したり、ファシリテーションを行うことには、不安を感じていました。
というのも、私の場合、参加者のちょっとした表情やしぐさなど、ノンバーバルな情報をもとに、少しアドリブを交えながら進行のかじ取りをしていくことが多いからです。
もともと準備していた話題だと、参加者の関心にあわなかったり、レベルにあわなかったりすることはよくあることで、そういう情報は言葉で発せられることはほぼありません。
こういったノンバーバルな情報は、Zoomなどの映像からはまだ読み取りにくいと感じます。私のようなタイプは、まだまだ対面の方がやりやすいなあと感じます。
今回、少しでもオンライン読書会本稼働前の不安をとりのぞき、オンラインから得られる情報だけを元に行うファシリテーションに慣れるため、練習会を開くことにしました。
「課題本形式の読書会」とは?
今回は課題本形式の読書会を行いました。
課題本形式の読書会では、読む本が指定されており(課題本)、読書会の開催までにその本を読んできてもらうことが前提となっていることが多いです。
イベントの時間中は、参加者みんなでその本について話し合います。
この形式の読書会では、読書会当日までに課題本を読了(読み終えること)してもらうことが、参加条件になっていることが多いです。つまり、宿題があるような読書会です。
読書会によっては、読むのがなかなかにハードな古典や哲学書などが指定されることもあり、「一人では挫折してしまうけど、読書会に参加するという締め切りがあるので読める」という理由から、課題本形式の読書会に参加するという方もいらっしゃいます。
日常、忙しくしていると、仕事や日常生活に直結する情報が載っている本(実用書やビジネス書など)を読むのに精いっぱいで、長期的な視野で考えた時に今から読んでおいた方がいい本までを読むことは難しいかと思います。
そういった状況の方が、半ば強制的に古典や哲学書を読むための時間を作る目的で読書会に参加する、というのはおすすめの方法です。
課題本は『苦手から始める作文教室』『フルサトをつくる』の2冊
今回、練習会で課題本にさせていただいたのはこちらの2冊。
津村記久子著『苦手から始める作文教室―文章が書けたらいいことはある?』(筑摩書房,2022)
伊藤 洋志著・Pha著『フルサトをつくる 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方』(筑摩書房, 2018)
先ほど、古典や哲学書を読書会で読むことをおすすめしましたが、まったく普段本を読む習慣がない方がいきなり取り組むには難しい面があります。
運動習慣がないのに、急に登山に行ったり、マラソンに参加するようなものです。
はりきって参加したのに読書会当日までに読み切れず、その体験から読書に苦手意識をもってしまったら、それは本当残念なこと。
本のイベントを企画している司書としては、避けたい事態です。
そのため、今回は普段あまり読書しない方や、課題本の読書会に初めて参加される方も読みやすい本を選定させていただきました(版元ドットコムには『フルサトをつくる』について「中学生向け」と設定がされていて、びびりました。文章のよみやすさだけを考慮すると確かに中学生もOKだと思いますが、中学生の人生経験では内容的に実感を伴って理解できる部分は少ないのでは、と思います)。
オンライン読書会を開催してみて
当日の様子 |
今回、約1時間半の読書会を3回にわたって行いました。
1時間半はあっという間。
多くの課題本形式の読書会の開催時間が、2時間以上ある理由が分かった気がします。
メンバーのキャラクターがある程度把握できて、場が温まり、話が盛り上がってくるのが1時間半ごろなので、ここで打ち切るのは残念な気がしました。
また、対面の読書会の場合、終了後にさらに交流会(飲み会など)があることも多いのですが、それも納得。
課題本の話で盛り上がった後だと、交流会でも雑談がしやすいと感じました。
課題本形式の読書会は、本を読むのにも一定の時間を必要とし、また会そのものにもかなりの時間を必要とします。
現代人がお金よりも貴重だと考えている「時間」をふんだんに使う、非常に贅沢なイベントなのかもしれないな、と感じます。
それだけに、どんな課題本を設定するかは非常に大事なポイントで、参加者の満足度に直結するように感じました。
また、オンラインだと移動にかかる時間やアクセスを調べる時間を短縮できます。その分、対面の課題本形式の読書会と比較して、忙しい方も参加のハードルは下がるのではないか、と思います。
今後も、キュリアスガーデンでは働く世代(ビジネスパーソン)に向けたさまざまな読書の取り組みをおこなっていきたいと考えています。
対面だけでなくオンラインのイベントも積極的に行っていきたいです。
今回、参加協力してくださった方からは、今後の読書会運営の参考になる、さまざまなご意見・ご感想をいただきました。
「視野や興味が広がりました」「 普段、自分では手に取らないような本と出会えた!」という感想を挙げてくださる方が多かったです。
ご多忙の折、課題本を期限までにお読みいただき、ご協力いただいたみなさまには心より感謝申し上げます。
今後、イベント開催が決まりましたら、こちらのブログやインスタ、Xにてお知らせいたします。
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