多くのひとに知ってほしい。「デジタルデトックス」の必要性(後編)

2023/10/10

デジタルデトックス 本紹介

 

前回の記事では、スマホの依存性やデジタルデトックスについてお話ししました。

今回はその続きです。

「もっと知りたい」という方のために、デジタルデトックスについて書かれた本や、関連書籍を積極的に扱っている本屋さんをご紹介します。

「デジタルデトックス」についてもっと知りたいひとのために。入門書を二冊紹介。

1冊目:アンデシュ・ハンセン著、久山 葉子訳(2020)『スマホ脳』新潮社


警告を表す黄色の表紙が印象的な新書で、書店で平積みされているのを目にした方も多いかもしれません。
市内の図書館へ行ったところ、2022年度の「自然科学」分野で、この本が貸出数第一位だったようでした。
著者はスウェーデンの精神科医。
この本では、いかに私たちの脳がスマホにのっとられているか、スマホが「私たちが気にせずにいられないように」作られているか、ということがさまざまな例をあげて説明されています。
また、近年の私たちの集中力の低下は、スマホの使用とそれにともなう運動不足も関係している、とのこと。運動には集中力を回復させる効果がある、という記述もあります。
興味深いのは「第9章 脳はスマホに適応するのか?」。
長時間のスマホ使用を正当化してしまう方に、読んでもらいたい1章です。
本文中「デジタルデトックス」についての記述はわずかで、どちらかというと「デジタルデトックスの必要性に気づいてもらう」ための本です。
デジタルデトックスに挑戦する前に読むと、デジタルデトックスのモチベーションアップや継続に効果があると思います。

2冊目:カル・ニューポート著、池田真紀子訳(2021)『デジタル・ミニマリスト: スマホに依存しない生き方』早川書房


ハンセン氏はスマホに対する「警告」でしたが、コンピュータ科学の研究者であるカル・ニューポート氏はスマホの中毒性を認めながらも「いかにデジタル機器とうまく付き合っていくか」ということに焦点を当てて研究を行っています。
この本はスマホ依存の危険性などを説明している「基礎編」と、実践のための「演習編」からなっています。
「演習」は、一般的にいわれている「デジタルデトックス」よりもスパルタで、30日間で一気にデジタル周りをリセットする、という方法です。
「一気に、短期間に、環境を変えてしまう」という点では、片づけのこんまりさん方式となっています。
興味深いのは、ミニマリストの先駆けとして知られている佐々木典士氏が文庫版解説を書かれていること。
「ミニマリスト」と呼ばれる人たちの中には、モノを減らすためにかえってデジタル機器への依存度が高かったり、デジタルデータが生活の中で肥大化しているひとがいるように感じていたのですが、少なくとも佐々木さんはデジタル分野でもミニマリストであるということが分かりました。
また、私は基礎編の「アーミッシュのハッカーに学ぶ」の項目が、今後のデジタルとのつきあい方を考える参考になりました。
この本の演習編はスパルタすぎて私は未だに取り組めずにいますが、1600人が挑戦したデジタル片付けに、ぜひ、挑戦してみてください。

デジタルデトックスに関連する本が充実している本屋さん 枯淡苑(長野県松本市)

長野県松本市に、「デジタルデトックス」をはじめとする、デジタルとのよりよいつきあい方(デジタルウェルビーイング)についての本を中心に扱っておられる本屋さんがあります。

古本を中心に新刊(古本ではない新品の本)も扱っておられる、枯淡苑(こたんえん)さんです。
国宝松本城の北側にあり、お城からは徒歩5分ほど。同じく国宝である、旧開智学校からもすぐの場所にあります。

枯淡苑さんのwebサイト写真

営業は不定休ですので、来店前にSNSにてご確認ください。
また、インターネットでの販売もされています。
webサイトは「インターネットによりそう」「インターネットからはなれる」「デジタルウェルビーイング」などのテーマにわかれており、探しやすいです。

枯淡苑はご夫婦で営まれていて、ご主人が本、奥様がドライフラワーを担当されています。
古民家を改装された店舗のタイムスリップしたような古い空間で、先端技術である「デジタル機器」や「インターネット」の本を探せるところがユニークです。
また、昼間もほの暗い店内には、書架を囲むようにスワッグやリースが展示販売されており、本とドライフラワーに囲まれた空間で、デジタルやインターネットの世界から一時、距離をおくことができます。

お土産店やカフェなどは松本城の南側に位置しています。
そのため、枯淡苑のある北側は少し観光エリアからは外れてしまうのですが、松本城に訪れた際には、ぜひ足を運んでみていただきたい、おすすめスポットです。

デジタルデトックスに関心を持ってくれるひとが増えることに期待

前回の記事でご説明したようなスマホの特性や「デジタルデトックス」という試みについては、地方都市で暮らしていると、関心を持っているのはまだ一部の層という印象です。
これまでも、大分県の姫島などIT系の移住者を促進する動きは見られましたが、コロナ禍を機に、地方にサテライトオフィスを持つことを検討する都市部の企業や、ワーケーションを取り入れるIT系企業が増えたことで、これまで以上にIT系の職業の方が地方にやってくる機会は増えました。
デジタルウェルビーイングへの感度の高いひとが都心部から地方へ流入することで、地方にもその考えが広まるといいなと思っています。
前回と今回の記事が、デジタルデバイスとのつきあいかたを見直すきっかけとなればうれしく思います。

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