直感の大切さについての記述がある本を2冊紹介
前回の記事では、現代は論理的思考に偏りすぎているので、脳をバランスよく使うためにも直感を大切にした方がいいのではないか、ということを取り上げました。
↓前回の記事を読みたい方はこちら
子どもだけでなく、大人も好奇心を持つことが大事。その理由とは?(前編)
今回はその続きで、2冊の本から、直感の重要性について触れている部分をご紹介します。
1冊目:黒川伊保子著『英雄の書 すべての失敗は脳を成長させる』(ポプラ社,2018)
英雄の書(版元ドットコムサイトへのリンク)
帯には「そつなく生きるな、直観と好奇心に従え。」という、興味深い言葉がかかれています。
黒川さんは日本での人工知能の研究において、ごく初期の段階から関わっておられた女性研究者。
近年話題になっているAIについての専門家です。
人工知能の開発(人工知能にいろいろなパターンを学習させる)には、人間の思考や行動パターンを分析することが必要となります。
その過程で得たさまざまな知見を活かして、夫婦や親子、職場内での世代間ギャップがある人とのコミュニケーションの方法などについて、多くの著書を出版され、また講演も多数おこなってらっしゃる方です。
今年4月からはNHKラジオ第一の平日午前中の番組「ふんわり」にて、金曜日のパーソナリティーを担当されており、リスナーから寄せられる質問に対してズバッと答えながらも、時にはリスナーの子育ての悩みを聞いて涙し、言葉を詰まらせている姿をご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
エンジニアとしての論理的思考ができ、質問者の気持ちに寄り添える豊かな感性もお持ちで、「論理的思考ができる能力」と「感性」の両方をバランスよく持っておられる方です。
この本には、仕事で抜きんでた存在になるためには、チャレンジ(失敗)することが脳にとっていかに大切か、ということが書かれています。
本来なら、脳は、「自分に必要なものだけが目に飛び込んでくる」装置だ。潜在意識は、顕在意識の何百倍もの情報をキャッチしていて、必要と判断したものを顕在意識に上げてくるのである。
p. 94より引用
好奇心に駆られて無邪気に動いたとき、あるいは使命感と共に逆境に立たされたとき、脳は、その潜在能力を最大限に使い切る。
p. 53より引用
また、私たちが自覚しているよりも脳は高性能なようです。
脳は失敗から多くのことを学んでいます。
私たちは脳を過剰に疲れさせないよう健康的な状態にすることに力を注ぎ、「孤独になりSNSや雑多な情報から自分を守ること」や「好奇心や直感に従うこと」が大切だ、と黒川さんは本書の中でおっしゃっています。
他者に自分のアイデアや意見を説明する場合には、確かに論理的思考は役立ちます。
ですが、そのもととなるアイデアは、やはり直感や好奇心によって発見されるのではないでしょうか。
2冊目:さいとうともこ著『在宅ワークで、手軽にできる!オンライン事務局の始め方』(ごきげんビジネス出版; 2021.3改訂版)
↓こちらのnote記事で第一章が無料公開されています。
形態は電子とペーパーがあり、amazonで購入できます。
著者のさいとうさんを知ったきっかけは、石川理恵さんの書かれた『時代の変わり目を、やわらかく生きる』(技術評論社,2022)の中でした。
ライターの石川さんは、これまでも何冊か著作を出されており、どの本も自分の興味・関心にフィットしていて、新しく出る本が待ち遠しい方の一人です。
『時代の変わり目を…』では、これまでの働き方・暮らし方にとらわれないで柔軟に生きるひとを取材しており、その中のお一人がさいとうさんでした。
「フリーランス」というと、ライターやIT系分野の専門職の方の働き方というイメージが、未だ強いように思います。
けれども、さいとうさんは、石川さんの表現をそのまま使わせていただくと「事務の仕事でフリーランスをされている」、事務職のフリーランス。
けれども、さいとうさんは、石川さんの表現をそのまま使わせていただくと「事務の仕事でフリーランスをされている」、事務職のフリーランス。
バックオフィスと呼ばれるような、仕事上でのさまざまな事務的な仕事を引き受けているのが、さいとうさんのお仕事です。
「オンライン事務局」という存在は、私は石川さんの本で初めて知りました。
「オンライン事務局」という存在は、私は石川さんの本で初めて知りました。
今は本当にさまざまな仕事が、企業に所属しなくても業務委託の形でできるんだな、と驚きました。
そして、この動きはますます進んでいくように思います。
そして、この動きはますます進んでいくように思います。
事務仕事を経験した方はご存じだと思いますが、一つの事業を運営していくには日々、本当に細かな作業がいろいろと発生します。
文章もすっきりとし無駄がなく分かりやすいですし、仕事上の注意点として書かれている事柄からは細やかな気配りが感じられ、文章全体からさいとうさんが事務のプロだということが伝わってきます。
さいとうさんの本の中では、請け負っている事務には具体的にどのようなものがあるのかリストで紹介されているページもあり(上で紹介したnote記事の無料で読める範囲に含まれています)、事務経験がないひとでもイメージがしやすいよう、配慮されています。
私が仕事でやっていたような仕事(webサイトの単純な修正作業やSNSの投稿、問い合わせへのメール対応、イベント申し込み者への対応)なども含まれていました。文章もすっきりとし無駄がなく分かりやすいですし、仕事上の注意点として書かれている事柄からは細やかな気配りが感じられ、文章全体からさいとうさんが事務のプロだということが伝わってきます。
意外に思われるかもしれませんが、さいとうさんの本の中にも「直感の大切さ」についての記述があります。
さいとうさんがフリーランスで事務の仕事始めてみて感じたのは、いろいろな依頼主の方がいるということ。
中にはもめるケースもあったようです。
そのような苦い経験を通じて「後々振り返ったときに、第一印象があまりよくなかったり、仕事のお話をいただいたときになんとなく良い感じがしなかったケースは、あまり良い結果になっていなかった」とおっしゃっています。
そのときは「すごいことをしている人からの仕事だから」とか「報酬がよいから」とか「お世話になった人からの紹介だから」と頭で考えて、引き受けていました。
仕事を始めたばかりの頃は、何でも引き受けたくなるかもしれませんが、せっかくの自営業ですから、好きな相手や応援したいと思う相手と気持ちよく仕事ができるように、日頃から直感を磨いておきましょう。
「 第5章 4.契約書を作成する」より引用
これは組織に所属せずに働く人が増えるにつれて、身につける必要が出てくる感覚ではないか、と思います。
今、まさに新しい形でフリーランスとして活躍されている方から発せられた、生の一言。
今後、世の中の働き方が柔軟になっていくにつれて、直感が大切になる、ということではないでしょうか。
今後、世の中の働き方が柔軟になっていくにつれて、直感が大切になる、ということではないでしょうか。
好奇心を持つことや直感を磨くことは、自分を助けてくれる
今回は、「好奇心」よりも「直感」についての内容が多くなってしまいました(汗)。
自分の生活を振り返ってみますと、私は普段、無意識でも意識的にも、直感が磨かれるような行動を選んでいることが多いです。
私の場合、知的好奇心を持つ対象は、頭で考えて選ぶのではなく、思いがけない出会い(直感)によることが多いからかもしれません。
好奇心を持つことや直感を磨くことのメリットは何か?と問われると、多くのひとは「若々しさを保つことができる」とか「チャンスをつかめる」など、生きる上で必須ではないけど普段の生活をより楽しくしてくれる「プラスαのもの」というイメージをされるのではないでしょうか。
確かに、好奇心や直感には、そのような一面があります。
しかし、それだけではなく「好奇心を持つこと」や「直感を磨くこと」は、見方を変えると生きる力そのものになることもあるのです。
そのことが説明されている本を、今回はご紹介しました。
この記事を読んだ方が、「実行力」や「相談力(困ったときに他者に相談できる能力)」と同じように、「好奇心を持つこと」や「直感を磨くこと」が、生命に直結する力なのだと感じてもらえたらうれしく思います。