UnsplashのAnnie Spratt
今回と次回の二回にわたって、ブログ名を構成するもう一つの単語である「庭」について、好奇心とのつながりを考えてみたいと思います。
子どもは好奇心の塊
児童文学には「庭」が舞台の作品がいっぱい!
そして、中には評価が高い「名作」とよばれるものもあります。
- 『秘密の花園』(フランシス・ホジソン・バーネット/作)
- 『トムは真夜中の庭で』(アン・フィリッパ・ピアス/作, 高杉一郎/訳)
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『メイおばちゃんの庭』(ライラント・シンシア/作, 斎藤 倫子/訳)
- 『夏の庭 The Friends』(湯本香樹実/著)
- 『裏庭』(梨木香歩/著)
なぜ、「庭」が児童文学には登場するのか
「子どもの知的好奇心を刺激する装置」であればよいのなら、もっと自然豊かな森や林、山や海などでもいいのでは?、と思う方もおられるでしょう。
実際、山や海など自然が舞台の絵本や児童文学もたくさんみられます。
では、なぜ、閉じられた空間である「庭」が舞台の作品があるのでしょう。
私はその理由は二つあるのではないか、と思っています。
1.子どもの行動範囲は大人に比べて非常に狭い
自分の子ども時代を思い出してみると、小学生くらいまでは自転車で10分程度で行くことのできる地域が行動範囲でした。非常に狭いです。
私は公立の小学校だったので、子ども同士での外出が許されたのはだいたい自分の校区内まででした(隣の校区まで子どもだけで自転車遠征したときは、親に「そんな遠いところまで!」と心配されました)。
また、日本は治安が良いので子ども同士で出かける自由がありますが、海外ではそもそも小学生くらいの子どものみでの外出が難しい国もあります。
他にも、『トムは真夜中の庭で』の主人公のように、療養や感染防止が理由の外出禁止もあります。このような状態になったら、子どもだけでは敷地内から出ることができません。
こういったことから、自然豊かな山や川、海などには、そのそばに住んでいない限り、子ども同士で頻繁に出かけることは難しいといえると思います。
親から許された狭い行動範囲の中で、もっとも身近であり好奇心を刺激される場所であり、何か疑問が湧いたときに、繰り返し自分たちだけで訪れることができるところ。
それが「庭」だったのではないでしょうか。
「庭」は里山などが身近にないような市街地に住む子どもにも、イメージしてもらいやすい場所だった。
そのため、作品の舞台に使われたのではないか、と私は推測しています。
2.閉じられた空間である「庭」には秘密がある
それは、庭が持ち主などによって管理された、閉じられた空間である、ということです。
誰かが管理している、ということは、古いお屋敷と同じように、何か秘密が隠されている可能性があります。
『秘密の花園』では花園の入り口が閉まっており、鍵までかけられていました。
(とはいえ、好奇心をいつも持ち続けられるような上級者になると、秘密などなくてもさまざまなことに好奇心を持つことができるようになりますが)
当ブログも好奇心のタネを見つけ、それをはぐくんでいけるような場所になるといいな、と思っています。